相続が発生した際、相続人に未成年者がいることはよくあります。未成年者が相続人になった場合の遺産分割についてご説明していきます。
未成年者とは20歳未満の人で(民法第4条)、未成年者は単独で法律行為をすることはできません。(民法第5条)
父・母・子供の3人家族を例にしていきます。父親が亡くなった場合、法定相続人は母親と子供になります。その子供が未成年の場合、通常であれば親である母親が代理人として手続きすればいいのでは?と思ってしまいますが、その母親も相続人なので利益相反となり、法律で認められていません。「利益相反」とは一方の利益が増えれば、もう一方の利益が減るというお互いの利害が相反することをいいます。
特別代理人の選任
上記の家族のように相続人に未成年者がいる場合、「特別代理人」を選任して、その特別代理人が未成年者の代わりとなって遺産分割の協議を行うことになります。特別代理人は家庭裁判所への申し立てが必要で、未成年者の住所地を管轄する家庭裁判所への選任申し立てを行います。この申し立ても未成年者本人ではなく、親権者および相続人などが行います。
特別代理人になれる人は?
特別代理人になれるのは、その相続に関係のない人であれば誰でもなることができます。ただし親族(いとこなど)を特別代理人に選任するとなんらかの不公平が生じる恐れがあるため、専門家に依頼されることをおすすめします。
相続放棄をする場合
では相続を放棄する場合はどうなるのでしょうか。借金などのマイナスの財産しかない場合に、未成年者も相続人のためそのままにしておくとその借金を相続することになってしまいます。放棄をする場合も未成年者本人が行うことはできないため、特別代理人の選任が必要です。
ただし親子一緒に相続放棄をする場合は特別代理人を選任する必要はありません。一緒に相続を放棄するのであれば親と子のあいだに利益の相反はないため、未成年者のための特別代理人は必要ありません。