人が亡くなられると相続が開始します(民法882条)。相続が開始したらまず遺言書の有無を確認します。遺言書があれば遺言書が最優先になりますので、遺言書どおりに遺産分割を進めていくことになります。遺言書がない場合は相続人全員で話し合いによる遺産分割協議をしていきます。ここでの相続人とは民法で決められた相続人(法定相続人)をいいます。
法定相続人とは「配偶者」と「血族相続人」をいいます。
配偶者は常に相続人となります。(民法890条)ここでの配偶者とは戸籍上の配偶者であり、内縁の妻(夫)は含まれず相続人にはなりません。また当然ですが離婚後の元妻(夫)も相続人にはなりません。
血族相続人には3通りあり、相続時の優先順位が決まっています。
相続人の順位と相続割合
第一順位は亡くなられた方の子供です。子供が先に亡くなられていた場合はその子供(孫)になります(代襲相続)。子供は実子でも養子でも同様です。
相続の割合は配偶者が2分の1、子供が2分の1です。
例えば子供が2人いる場合では、配偶者が2分の1、子供は2分の1を2人で分けて4分の1ずつとなります。
第二順位は亡くなられた方の親です。亡くなられた方に子供も孫もいない場合は、父母が相続人となります。もし父母も先に亡くなっていて祖父母がいる場合は、祖父母が相続人となります。
相続の割合は配偶者が3分の2、父母が3分の1となります。
例えば子供のいない夫婦の夫(妻)が亡くなられた場合、配偶者が3分の2、亡くなられた方の父母がどちらもご健在の場合は3分の1を2人で6分の1ずつ相続します。
亡くなられた方に子供もおらず、父母もすでに亡くなっている場合、第三順位に兄弟姉妹が相続人となります。兄弟姉妹が先に亡くなっていてその子供がいる場合はその子供が代襲相続します。
相続の割合は配偶者が4分の3、兄弟姉妹が4分の1となります。
相続放棄の場合の注意点
以上が相続人になる順位とその相続の割合についてお話しました。
では亡くなられた方に借金などの負債があった場合の相続についての注意点をお話します。
亡くなられた方に多額の借金などがある場合、一切の相続をしない相続放棄をする方法があります。相続放棄は自分に相続の開始があったことを知った日から3ヵ月以内に家庭裁判所に申述しなくてはいけません。(民法915条)
例えば亡くなられた方の配偶者、子供が相続放棄をしたばあい、相続権は第二順位の父母にいきます。父母も相続放棄した場合は第三順位の兄弟姉妹に相続権がいきます。相続放棄の申述は「自分に相続権があることを知った日から3ヵ月以内」ですが、父母や兄弟姉妹に突然、借金返済の催告がいってしまうとみなさん驚かれてしまいますので、相続放棄をする場合は関係する相続人(父母や兄弟姉妹)にも事前にお話しておきましょう。